こんにちは!
大澤経営戦略事務所
中小企業診断士・経営学修士(MBA)
大澤です!
先日、MBAと中小企業診断士の違いについて質問を頂きました。
色々と思うことがあったので、整理しつつ、
記載してみることにします。
私は、中小企業診断士の資格を取得しており、
私は以前に国内の経営大学院を卒業しておりますので、
MBA(経営学修士)と中小企業診断士資格の2つを有することとなりました。
この2つは経営学を学ぶ上で、
どちらが良いかのか?と、
よく比較される学位・資格です。
比較サイトも多くありますが、両方保持する者として、
より深くお伝えできることがあるかと思います。
これから経営を学ばれる方は、
MBAと中小企業診断士、どちらに進むべきか悩むことが多くあるかと思いますので、
是非、このブログを参考にして頂ければ幸いです。
※あくまで個人的な意見としてとらえて頂けますようお願い致します。
まず初めに
そもそも、MBAと中小企業診断士では、
学位と資格という違いがあります。
中小企業診断士
中小企業診断士は、読んで字のごとく、中小企業の経営課題に対応するための診断・助言を行う専門家です。また、法律上の国家資格であり、「中小企業支援法」第11条に基づき、経済産業大臣が登録します。
中小企業診断士は、まず企業の成長戦略の策定について専門的知識をもってアドバイスします。また、策定した成長戦略を実行するに当たって具体的な経営計画を立て、その実績やその後の経営環境の変化を踏まえた支援も行います。このため、中小企業診断士は、専門的知識の活用とともに、企業と行政、企業と金融機関等のパイプ役、中小企業への施策の適切な活用支援まで、幅広い活動に対応できるような知識や能力が求められています。
MBA
Master of Business Administrationの略で、日本語では経営学修士。
つまり、経営学の大学院修士課程を修了すると授与される学位です。
MBAと中小企業診断士の学習範囲は同じ?
どちらも、経営戦略、マーケティング、会計、ファイナンス、オペレーションは学習範囲となり、重なる部分も多いです。
しかし、後述しますが、学習する知識の使い方が異なります。
中小企業診断士
中小企業診断士は前述の通り、中小企業を診断する能力を証明する資格ですので、
対象は中小企業、また、企業を社外から診断する人の資格です。
その為、
IT、経営法務や中小企業向けの政策等、中小企業にとって重要なマクロ環境も学習範囲に含まれます。
使うフレームワークはSWOT, 3C, PEST,5 forcesくらいです。
MBA
主に、大企業やベンチャーを対象として、社内から戦略の立案や実行を行う為に学習をします。
よって、新規事業や資金調達の知識、プレゼンテーション等の社内コミュニケ―ションスキル、会社の変革プロセス等も含まれ、学習範囲は比較的広いと思います。
また、ケースを通じて、 SWOT, 3C, PEST,5 forces以外にも、7S、VC、VRIO、SPC、その他の多種多様なフレームワークや、トルネードチャート等を実際に使う経験をします。
学習する知識の使い方の違いとは?
例えば、3CとかPESTとか、フレームワークは同じでも、
使い方や考え方が根っこから異なります。
端的に言うならば、
マイケル・ポーターの競争戦略なら
MBAでは、差別化戦略やコストリーダーシップ戦略を自社で実現し、
中小企業診断士では、差別化集中戦略を企業に提案するイメージ
フィリップ・コトラーの競争地位戦略なら
MBAでは、リーダー、チャレンジャー
中小企業診断士では、フォロワー、ニッチャー
を得意領域とするイメージです。
これは、そもそも対象とする企業の経営リソースや、
学びを活用する目的が違うことが理由でしょう。
中小企業診断士の知識は大企業では使えない?
使えないとは言いません。しかしながら、2次試験で出てくる企業もやはり中小企業ですし、
知識の使い方、考え方は中小企業向けです。
なので出てくる経営戦略も違います。
前提にある、中小企業と大企業では経営リソースが異なることが理由です。
MBAはなぜ大企業が対象といえるのか?
一言で言えば、学校だからです。
学校は、定員割れを起こさないように、
多数の入学者を集めることが事業運営の肝ですよね。
そして、MBAとは、前述の通り学位であり、その学校で経営学を学んだ証なので、
超一流企業の代表取締役が卒業生であれば、どうでしょう?
その学校のMBAがブランド化され、入学希望者が集まりますよね。
- 厳選した優秀な入学生
- 卒業生の優れたアウトプットと高い露出
- MBAブランドの構築
- 多数の入学希望者
- より厳選した優秀な入学生
- 卒業生のより優れたアウトプットとより高い露出
といった良好なサイクルを作りたいのです。
単純に言うと
大企業の代表取締役が自校の卒業生であって欲しい、
その方が、良い入学者が集まるんです。
だから必然的に大企業が対象となりやすいんです。
学習内容の深さ
経営学としては、やはりMBAの方が広く深いでしょう。
理由は以下です。
学習の目的による違い
中小企業診断士
診断業務を行う為の知識を学ぶことが大前提ではありますが、
合格を目標とする方が多いと思います。
「最短合格」等を謳い文句とする書籍も多く、
少ない学習時間を有効活用する為、一般的に、それらの書籍を学習に利用しがちでしょう。
経営学を学ぶという目的が、「合格」にすり替わることで、頻出単語等に集中して学習しますし、
「フレームワークは知ってるけど、使ったことが無い」等、
時間効率という合理性から、周辺知識が身につかず、応用が利きにくい等の弊害があります。
これは一部の他サイトで記載されているような
「中小企業診断士の方が短期間で取得できる」ことのデメリットと言えるでしょう。
MBA
入学後は卒業まで、単位を落とすことなく、普通にやっていれば卒業できるので、
「ダメな人でも卒業すれば得られる学位」 とも言え、能力の証明にはなり難い。
本当に経営学を理解してるのか?に答える根拠にならないとも言えます。
しかしながら、最短合格等ありません。
合格までの時間は一定ですので、在校期間中は学習が目的となります。
ハーバードや、グロービスのMBAではケース(企業事例)を題材に学習を進めるため、
講義やディスカッションが主となり、 応用力は高まりやすいでしょう。
また、 卒業までの期間、数年かけてじっくり学ぶ為、周辺知識も豊富になりやすいと感じます。
学習費用について
私を例にすると、
国内の経営大学院の学費で250万円程度です。
中小企業診断士資格取得に15万円程度です。
認知度や評価は?
仕事で高いアウトプットを出せば良いのですが、
ハロー効果や影響力の武器としての権威という観点から述べると、
中小企業診断士
国家資格ということもあり、すごいね!という言葉を多くいただきます。
中小企業診断士の方が比較的、評価や認知度が高く感じます。
MBA
良く判らないけど経営勉強したナンカすごいやつ、と思ってる方、
「ダメな人でも卒業すれば得られる学位」という認識をされている方、
の2パターンが多いように思います。
だいぶ勝手なことを言ってますが、
以上をまとめると、
下の表の感じでしょうか。
項目 | 中小企業診断士 | MBA |
資格・学位 | 資格 | 学位 |
対象企業 | 中小企業(他社) | 大企業(自社) |
知識を使う人 | 社外 | 社内 |
学習費用 | 15万円程度 | 250万円程度 (国内経営大学院) |
認知度・評価 | 比較的高い | 比較的低い |
取得までの期間 | 1年から5年程度 (人による) |
2~3年程度 |
策定する戦略の方向性 | 生き残り・継続 | 持続的な成長・拡大 |
どなたかの参考となれば幸いです。